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2022.08/23

~岡本誠司&アンティエ・ヴァイトハース デュオ・リサイタルに寄せて~

師匠と弟子。
それぞれに様々な関係性のかたちがあるもので、私も何人もの師匠のおかげで今があると言えます。
まず、“ヴァイトハース先生”と書くと先生の居所悪そうな顔が頭に浮かびますので、ここでは敬意を込めて、そして普段通りに“アンティエ”と。
デビュー当時からヨーロッパを中心に広く演奏活動を続け、コンチェルトのソリストから室内楽、リサイタルからオーケストラの弾き振りまで全てこなしてしまうアンティエの音楽に対するエネルギーには圧倒されるばかりで、その上で後進の指導まで高い熱量で行う生活にはいつも驚かざるを得ないと同時に、私の将来的な理想でもあります。

初めてレッスンを見学したのが 2015 年のこと。国際色豊かなで個性豊かな門下生ひとりひとりの痛い所を突く、もとい、痒い所に手が届くような 1 コマ 90 分のレッスンに深く感銘を受けました。外部でのマスタークラスやプライベートレッスンをほぼ行っていないアンティエの教えを受けるためにはベルリンのハンス・アイスラー音楽大学かクロンベルク・アカデミーのアンティエのクラスに入るしかなく、ドイツへ行く決心の付いた 2017 年の秋にクラスに入ってから 5 年間、まずはベルリンで、その後はクロンベルクで、充実した時間が続いています。

当時は 23 歳ながらにやりたい音楽演奏の理念や理想はあったものの、それを現実の音にすることの難しさに行き詰まっていた時期でもありました。アンティエの的確かつ忍耐強いレッスンのおかげで、演奏表現や音そのものに関する根本的な考え方も変わり、ディスカッションによって多くの新たなアイディアや音楽の見方を教わり、特に奏法を一から見直すことになったのは易しい道のりではありませんでしたが、閉ざされていた門が開け放たれた感覚を何度も経験することほど嬉しいことはありません。

 

さて、なぜヴァイオリン・デュオなのか。
ピアノの上半分だけの音域で、最大で 4 つしか同時に音の出せないヴァイオリン。そのヴァイオリンが 2 挺のヴァイオリン・デュオ。チェロが出せるような低音が欠け、ピアノが作れるような厚みのある和音やハーモニーも欠けたこの編成ですが、バロックの時代から現代に至るまで娯楽性に溢れたものから芸術性の高いものまで様々なレパートリーが存在しています。

いずれにしてもヴァイオリンの生音だけが届く、奏者としてはごまかしの効かないシビアな編成、お聴きいただく皆様にとってはヴァイオリンを堪能しヴァイオリニストを知るためのベストな編成とも言えます。
実は公の場ではじめての師弟共演となる今回、どのような演奏をお届けできるのか、わくわくとどきどきが止まりません。
ぜひお聴き逃しのなきよう!そして、お楽しみに!

 

 

 

岡本誠司&アンティエ・ヴァイトハース ヴァイオリン・デュオ

11 月 30 日(水)/19:00 開演 18:15 開場/浜離宮朝日ホール
全席指定¥6,000 (U30 ¥3,000)

9月3日(土)一般発売

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